第14章
年が明けると同時に、フロスト王国の辺境で動乱が勃発し、それに呼応するかのように、国内の複数の領主も反乱の狼煙を上げた。ローゼンタール王国は、建国以来、未曾有の国難の渦中にあった。
私は王宮の西側回廊に一人、立っていた。冬の低い陽光が、精緻な透かし彫りの窓格子を抜け、磨き上げられた大理石の床に、まだらな光のレース模様を描き出している。ここは、従兄であるマーカス・クレモントが毎日の巡回で必ず通る道だった。私はもう一時間近くも、ここで彼を待ち続けていた。
「アリス? どうしてこんな所にいるんだ」
聞き慣れた声が、背後からした。
振り返ると、マーカスが真新しい近衛軍の制服に身を包み、...
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3. 第3章
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